スイート∞メモリーズ

eight鑑賞の感想文です。歌を歌う赤の人をおもに見ています。

星の名を持つセイレーン

タイトルでお察しの通りかなりイタいです。ひたすら嘆いてます。ご注意を。

 

 

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一番の資質を持つ子が、一番執着がないなんて。

 

その名。

容姿。

歌声。

歌い踊って、ステージに立つ。

ジャニーズにあるべく生まれたのだと。

 

 

そんな宿命とか神秘性とか。

普通の芸能人なら

きっとそんな夢を託されたりはしないんだろう。

 

 

そしてそんな

ファンタジーで縛られた非現実や、

押し付けられる虚像が邪魔だったのだろうとは察していたけれど。

 

 

幸も不幸も、誰よりも選ばれし者だった故だ。

 

 

渋谷すばるはもともとジャニーズに憧れて入所したわけでもなかったし、

結局ジャニーズ世界を好きになりもしなかった。

 

 

だけど魔法のかかったジャニーズのコンサート会場の暗闇で、

渋谷すばるの歌う

そこは異世界で、

夢を見ているとしか思えなかった。

魔力だった。

 

 

血を流すような「one」。 

「ミセテクレー」と天に向かって叫ぶ、まだ幼い、今よりずっと華奢な姿。

エキゾチックな布をまとった、ひたすら胸を締め付ける「琉我」。

8祭の大人びた「Day D」「乾いた花」。

「words」では、この人の歌をファンだけで消費していいのかと思った・・・。

 

 私はこの人の虜になった。

 

 

 

渋谷すばる

血と肉の確かさと、痛みと快楽で、現実の中に鳥肌の立つような異空間を出現させてみせた。

 存在はするが等身大ではないジャニーズだからこそ、かけられる魔法で。

 

  

 

自由に歌わせてあげたいとも思ったが、

その閉じ込められた枷から必死であがく極限の叫びが

観るもの、聴くものを魅了していたのも事実だった。

まがまがしいが、目を離せない魅力だったのだ。

 

 

悲しみに正気を失っているので許されるだろうか。

恥ずかしげもなく言わせてほしい。

聖なる怪物、と。 

 

 

その羽を置いていくと言う。

誰もが望んで手に入れられるわけでもないセイレーンの羽を。

 

これからは、ただの人間となり、地に足を付けて歩いていくと言う。

 

 

いつまでも、ずっと私は惜しむ。

 

                              <月季>